1/1スケール「連邦の白いヤツ」

前の晩に繰り出した六本木のクラブで、前に行ったときにママとガンダムのハナシをしたこともあって、そのときもコイツの話題に。帰りしなに気が遠くなるほどの呑み代を払わされてすっかり意気消沈してしまったが、この件だけは妙によく憶えていて、気を取り直すべく、ちょっとお台場は潮風公園まで行ってきた。

これはグリーンTOKYOガンダムプロジェクトの一環で建造された高さ18mの1/1スケールのモビルスーツで、今年8月31日まで公開されているとのこと。

1980年代初頭、小学校高学年の少年の間ではだいたいガンダムが流行っていて、いまのようにリアルな造形のフィギュアなどはなく、手に持てるガンダム関連の立体アイテムといえばプラモデルだった。
特に流行りはじめのころ、ガンプラはどの店に行っても品薄状態で、たいていは日曜の午前中にしか売っていなかったし、なけなしのコヅカイを握りしめて来店する小学生どもをあざ笑うかのような応対をするオトナも多かったような気がする。その典型として、入荷しても「購入はひとり一点」「まったくカンケーないほかのプラモデルを必ず一点買う」「専用カラーセットを付けないと売らない」というような条件付きの販売形態があたりまえのように横行しており、当時私が住んでいたエリアの小学生にとって、いまだに忘れられない最大の敵は「コジマモデル」だった。この店は、独自の入荷ルートを持っていたのか、日曜以外でもガンプラを置いていることが多く、特に土曜日の午後は種類も豊富に並べていた。といってもほかのクルマや飛行機などの普通のプラモデルとは完全に別扱いで、店主のいつも座っているカウンタの奥に、まるで高価な財宝のごとく並べられていて、自由に手に取って見るなんてコトはとうてい敵わぬ環境。いま現在の、ビックなどの家電量販店で触り放題、箱のフタを開けて中を見放題といった販売形態とは、まったく雲泥の差だったのである。
それでも小学生たちはガンプラが欲しいものだから、そうした状況に不満を抱きながらもぐっと堪え、かなり距離のあるところに鎮座するガンプラの箱とにらめっこすること数分。いまのように「じゃ、ついでにそれも買っとくか」というような芸当はとても敵わないフトコロ具合なワケで、数百円のガンプラを選ぶその目はまさに真剣そのもの。こんな悩み(?)を抱えた小学生に、そこの店主は「プラモデルとにらめっこしててもしょうがないから、出直してきな」などと平気でのたまうおっさんで、あのとき心に受けた傷は、四半世紀以上たったいまでも癒えていない、などと云うと大げさか。

このようなハナシはもう、いままで何度となく口にしてるし、いろんなカタチで文章にしてきたものだが、こうしてあらためて新アイテムに接すると、どうしても思い出してしまう。あのころ、劇中の設定どおりのサイズのガンプラがあったら...などと考えたのは私だけではないはずで、それからおよそ30年、まさにそれが現実になったわけで、ココに見に来ている輩もきっと、似通った想いを胸に見上げていたに違いない。