ガンプラ回顧録

こちらもすっかりごブサタではあるが、SNSのほうに細切れにしたためた駄文をまとめて書いておこうと思う。

そもそもこんなコトをテーマになにか書こうと思ったのは、かのガンプラの部品の追加注文が、いまどきはWebで手軽にできるのを本日知ったコトによる。

いまから30年ほど前の第一次ガンプラブームのおり、なけなしのコヅカイをはたいて毎週末プラモデルを買いに行っていた小学生たちは、販売店を経営する悪どいオトナたちの、手を変え品を変えたアコギな抱き合わせ商法にもめげず、そうした経済的・精神的な幾多のハードルを乗り越えて買っていたものである。
しかしそんな大事な宝物であっても、子どもであるゆえの愚かさや浅はかさが災いして、ガンプラのパーツを破損・紛失したりというコトはままあった。

当時のガンプラの組立説明書の末尾には「部品注文カード」なるものが刷られていて、私がコレクションし始めた当初は「こわした・なくした・不良・不足」という四つの選択肢のなかから、取り寄せの理由を選んだうえで、必要な部品の番号を書いてバンダイに注文するという手続きとなっていた。

「こわした・なくした」の場合は、20円とか30円など、部品の大きさに応じた対価分の切手を同封して発送申込みをすることになっていたのだが、そんな安価な切手だったとしても、たいていの小学生は自由に使えるものではなかっただろう。
かくいう私の置かれた状況も同じだった。

ところが一方で「不良・不足」の場合は、供給側の品質管理上の問題であるから、そこに○をつけてバンダイに送れば、対価を支払わなくてよいというコトになっていた。
なにか光る金属が道に落ちているのを見つけただけで、後先考えずにコインだと思い込んでしまう、それこそ守銭奴予備軍のような当時の子どものコト、カネを払わずにてめぇの「こわした・なくした」部品が手に入るのなら、「不良・不足」に○をつけずに送らないはずがない。

しかしやはり、そこはしょせん子どものコト、虚偽の申告をして万一バンダイにバレたらどーしよう?!みたいな畏怖の念を抱いたヤツはきっと私だけではなかったに違いない。 親に連絡が行き、万引と同罪にされて補導されるんじゃないか?など、なまじ高学年なだけにハンパな知識だけで勝手に怖がっているのだから世話はない。

それでもだれかが - 私だったか...それは忘れた - その先陣を切るかのごとく「不良・不足」に○をつけ、切手を同封せずにバンダイに送りつけたところ...はたして部品は、時間こそかかったものの、きちんと届けられたのだった!

1980年代前半という、ケータイもインターネットもほど遠い時代だというのに、「不良・不足」作戦のコトは、あっというまに子どもネットワークの間に広まった。
といっても、日常のほとんどを学校か自宅で完結できるほどの非常に狭い交友範囲でのハナシだし、ほとんどの男の子の関心事がガンダムなのだから、それも推してはかるべしといったところかもしれない。

ガンプラ小僧どものだれしもが、自分でぶっ壊した部品を注文するときに「不良・不足」に○をつけて送ってくるものだから、きっとバンダイのほうでも「そんなはずねぇだろ?!」となったのかどうか知る由もないが、いつしかその「部品注文カード」から「不良・不足」の選択肢が消え、「部品をこわしたり、なくした場合のみ...云々」という文言に変更されていた。

そんなコトをしていた子どもたちは、その後数年で立派にナマイキな中学生となり、その一部は部品ではなく、自分の素行が「不良」になって脳ミソが「不足」しちゃうのだから笑えない。

ということで、いくら消費者は顧客だからといっても、なにごともやり過ぎると、結局は恩恵を享受するほうが損するのね...という、なんだか格言めいたハナシで、この回顧録を締めることになるとは思わなんだ。