20年越しのコンプレックス克服作戦

二輪についてココに書くのは半年ぶりで、しかも該当するカテゴリが "Ops.Magna"しかないので、内容がMagnaでもなんでもないバイクのコトをしたためた駄文となっているコトをまずはご容赦いただきたい。

さて、昨年の暮れも押し迫ったくらいのころ、どこでだったかは忘れたが、ホンダからクオータクラスのレーサレプリカタイプの車種であるCBR250R今春発売される情報を知り、その発売日を心待ちにしていた。 そのわりには四月に入った昨日、昼休みに立ち読みしたバイク雑誌の記事で、二週間前にとっくに発売となっているコトを知り、なんかもしかしてオレ、そのコト忘れてた?なーんだ、オマエの想いなんてのはその程度なのか?などと、ちょっと自分で自分が恥ずかしくなってしまった。

そもそもなぜに、この期におよんで250ccごときの二輪車にそんなにご執心なの?と思えなくもないが、私がこの車種に異様に固執するのには、ある種のコンプレックスを持っているからである。 それというのも20年以上前の大学時代、原付とクルマの運転免許しか持っていなかった私が、自分でいつでも自由に運転できるのは50ccのスクータだけで、乗るには二輪の免許が必要な「きちんとしたオートバイ」で通学してきている連中を羨望のまなざしで見ていた記憶が脳裏に根深くこびりついているコトがある。
もちろん当時は、そんな車種を買えるほどの経済力もなかったし、ああいうのに乗りたいとは思う一方で、運転免許を取るだけの行動力も持ち合わせていなかったのだろう。 結局、学生時代のうちにだんだん二輪への興味も薄れつつ、年月だけが過ぎていまに至っている。
三年半ほど前、急にまた二輪に乗りたいと思い至り、大型自動二輪免許を取ろうと思ったのは、もしかするとそんなコンプレックスを払拭したいという無意識によるものだったのかもしれない。


さてさて、前置きが長ったらしくなってしまった。
この日、以前棲んでいたマンションの向かいの理容店へ行ったついでに、マンションの裏手にあったHONDA DREAMに立ち寄ってみた。 すでに店舗の外には"CBR250Rデビュー!"などと謳ってある幟がいくつか掲げられており、なぜか焦燥感に駆られてしまう。


さっそく店舗の敷地に入ってみると、すぐにお目当ての車両とさっそくのご対面となった。 しかも私がいちばん気に入っているトリコロールカラーということで、いきなりアドレナリンは全開になり、まるで欠食児童が喰いモノを目の前に出されたような精神状態になっているのが自分でもわかる。 そこらにいた店のヤツに「コレ欲しいんだけど、試乗車はあるの?」と訊いてみたところ、その店員に「いやぁ、ウチには試乗車はないんですよねぇ」とコトもなげに云われ、またまた出鼻をくじかれてしまった。


なーんだよ、試乗もできねぇんじゃしょうがねぇだろっ。試乗もしねぇで買うヤツもいねぇだろうが...!などと胸中で毒づきながら、とりあえず跨ってみたり、こんな画像を撮影したりして、そもそもナンバーがついてないんじゃ公道を走れないわけだから試乗もムリだわなぁなどと妙にナットクしたりしつつ、満たされない欲求をどうにか抑制しようとアガくに終始する。


しかし、この日は完全に「試乗する!」モードだったので、やはり翻意するには至らず、かのタスマニア・グリーンを買った別のディーラに電話を入れて試乗車がある旨を確認のうえ、そこへ向かうことにした。(自分でもまったくよくやるよ...と思わなくもないが)


こちらのディーラには、試乗車として同じ色の車体が置いてあり、苦節三時間、ようやく試乗が適うことになった。
以前に一度、別の車種で試乗コースを走ったコトがあるので、店のヒトのコース説明もほとんどうわの空で聞いてるものだから、実際に走り始めてみると「あれ?ココを左折だっけ?」とか多少右往左往しながら、あっという間の10分弱の試乗を無事に終え、まずはファーストインプレッション的な感触だけはつかむことができた。


なんといっても、そもそもエンジンの排気量がいつも乗ってるFLSTFの六分の一であるからして、停止状態から加速するときの引っ張る力に、かなりのユルさを感じるのはやむを得なかろう。 それはシフトチェンジをしたときにも同じコトが感じられるし、逆に減速のためのシフトダウンのときにも、制動力の低さは否めない。
ただ、そもそも車格がぜんぜん違うものどうしでそういう部分を比較すること自体、あまり意味がないともいえる。
160kgの車重は二輪車としては比較的軽量なので、たいていの挙動を力づくでコントロールできそうな感覚であることが魅力である。 また、私がバイク・コンプレックスを抱いたハタチ前後の時分では、バイクといえばこうしたスタイルのモノを指すのだという感覚を擦りこまれたままいまに至っているコトもあり、製造側があたかもそれに応えてくれたような嬉しさがある。このへんはあまり妄信すると、たんなる与しやすい消費者に成り下がってしまう懸念も払拭できないものの、まずはこうした車種の再登場を素直に喜びたい。

ということで、コイツを実際に購入してわが家の一員とするためには、現状につきまとう諸々の調整が不可欠ではあるが、近い将来、ココに納車のレポートをまた書き綴れるコトを期待しつつ、今回は締めくくりたいと思う。